損益計算書の極意

2-7.経営安全率がいちばん大切?

経営安全率とは限界利益に占める経常利益の割合〈経常利益÷限界利益×100=経営安全率〉のことです。経営安定率が高いほど経営の安定した倒産しにくい会社となります。経営安全率は15%を目指したいところです。

損益計算書で何よりも注目しなくてはならないのが経営安全率です。経営安全率とは限界利益を100%としたときの経常利益の割合のことです。

つまり、限界利益が何%減少したら経常利益が0となり、会社の経営が赤字になるのかがわかります。

たとえば経営安全率が8%の会社なら売上が8%ダウンすると経常利益が0となります。

限界利益は〈売上-変動費=限界利益〉で求められ、変動費は売上の大きさに必ず比例する費用ですから、結局売上が8%減少すると限界利益も8%減少します。

したがって、経営安全率をみれば会社が何%の売上高の減少に耐えられるかがわかるのです。会社の業績は経営安全率から「売上が○%落ちて損益トントン」、経常利益がマイナス(赤字)の場合には「売上が○%上がると損益トントン」と表現されます。経営安全率が高ければ売上の減少にも耐えうる余裕のある会社といえます。

経営安全率は高いほどよいですが、目標は15%です。これはお客様が風邪をひいたときに自社が肺炎にならない、つまりお客様の経営状態が悪くなって売上が減少しても耐えられる数値です。経営安全率が15%を超えればもうかっている会社といえます。

TKC経営指標のデータベース(株式会社TKCのコンピュータを利用している会計人のデータベース。税務署に出す書類と連動しているため、日本で最も信頼性の高い中堅中小企業のデータベースといわれる)から経営安全率を求めた結果、赤字企業の平均は-7%、黒字企業の平均は8%でした。そして黒字企業の上位15%である優良企業の経営安全率の平均は18%となっています。

経営安全率を高めることは限界利益に占める経常利益の割合を高めることです。つまり、経常利益を増やす必要があります。〈限界利益-固定費=経常利益〉ですから、限界利益を増加させるか、固定費(人件費や経費)を削減することが経営安全率のアップにつながります。

経営安全率
内容 経営安全率がいちばん大切?の参考画像
意味 この%分の売上が落ちても損益トントン
数字 どうなれば 高いほど良い
目指すは 15%
赤字企業 -7%
黒字企業 8%
優良企業 18%
評価 理想企業 50% これから 0〜6%
優秀企業 15〜49% 欠損企業 0%未満
普通企業 6〜14%
効果 儲かる会社となる
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