貸借対照表の極意
4-4.借金が返済されるメリット
借金とは、他人資本である負債の借入金のことです。借入金がゼロになれば利益がそのまま自己資本の増加となり、自己資本が増えると徐々に資産の現金・預貯金が増加するから会社の経営が安定します。
他人資本である負債のなかの借入金が借金です。
流動負債の借入金であれば1年以内に返済し、固定負債の借入金であれば、1年以上の長期にわたって返済を行います。事業を延ばすためにはまとまった資金が必要であり、ある程度借入金に依存せざるをえないから、借入金はあるのが普通で、もしもゼロならすばらしい会社だといえます。
借入金を返済することがどうしていいことなのか考えてみましょう。まず、会社が営業活動を行うためには必ず、売掛金やたな卸資産(在庫)、固定資産などの資産が必要となり、貸借対照表の左側である資産が増加します。
資産が増加すれば、当然負債・純資産も増加しますが、このときに自己資本が最初から十分あることは稀であり、他人資本である借入金が増加するのが一般的です。つまり資産を導入しつつ、借入金を返済できるのは会社の経営にかなりの余裕がある証拠なのです。
次に、会社の経営が順調で借入金をすべて返済することができたら、資金を他人資本で調達する必要がなくなり、他人資本に依存しない会社経営が可能となります。そして借入金を返済し終えた後には、利益がでれば利益剰余金としての自己資本のみが右側で増え、会社の経営状態はますます安定します。
さらに、自己資本の増加が資産の現金・預貯金の増加につながり、最終的にはキャッシュフローも改善されて会社はすばらしく成長するのです。
ただし、借入金を返済してゼロにするのは稀なケースですから、まずは借入金を少しでも減らす努力をしなくてはなりません。貸借対照表の右側である他人資本を減少させるためには左側の資産をコントロールする方法が有効です。
つまり、売掛金や受取手形などの売上債権をなるべく減らし、在庫を適切な量に抑え、必要のない固定資産の導入を防ぐことで、結果的に借入金を減少させるのです。
キーワードは「もたざる経営」