貸借対照表の極意

4-5.自己資本比率が40%をこえると会社はつぶれない

貸借対照表では自己資本比率に注目します。自己資本比率は〈自己資本(返済不要の資本)÷総資本(自己資本+他人資本)〉で求められます。自己資本比率が高いほど会社の経営は安定し、倒産しにくい会社となります。

自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値であり、〈自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)〉の式で算出します。

自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、会社の独立性に不安が生じます。自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。

では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。一般に自己資本比率が70%以上なら理想企業、40%以上なら倒産しにくい企業といえます。TKC経営指標のデータを見てみると、自己資本比率の平均は赤字企業で-4%、黒字企業で27%、優良企業(黒字企業中上位15%)で53%。自己資本比率は高いほどよいですが、まずは40%を目指したいところです。

自己資本比率が高くなるとどういう会社になるでしょう。自己資本比率の増加は、他人資本の減少、つまり借入金の減少を意味します。借入金に依存した資金繰りからの脱却です。銀行から資金を調達しないかぎり「手形が落ちない」「支払ができない」「給料が払えない」状態から抜け出せば、資金繰りが楽になり、経営は安定して倒産しない会社となります。

反対に、自己資本比率が極めて小さく、借入金に依存した経営を行っている会社は資金繰りが厳しく、倒産して借入金が返済できない可能性も考えられるので銀行も融資を控えるようになります。つまり、自己資本比率の小さい会社は信用されず、資金調達が難しくなりますが、自己資本比率が高くなれば、会社の信用アップにつながるのです。自己資本比率を高めるためには、税引後純利益の蓄積である利益剰余金を増加させることで分子である自己資本を増加させるか、固定資産や売上債権、在庫をコントロールして資産を減らし、分母である総資本を減少させる施策が必要となります

自由資本比率
内容 自由資本比率の参考画像
自己資本とは返さなくてもよい資本
具体的には資本金と資本剰余金、利益剰余金
総資本とは自己資本+他人資本
具体的には貸借対照表の合計欄
意味 資本のうち返さなくてもよい資本の率
数字 どうなれば 高いほど良い
目指すは 40%
赤字企業 -4%
黒字企業 25%
優良企業 53%
評価 理想企業 70% これから 0〜19%
優秀企業 40〜69% 欠損企業 0%未満
普通企業 20〜39%
効果 つぶれない会社となる
対処策 自己資本の増大…限界利益アップ、固定費コントロール
総資本のコントロール…売掛金・受取手形のコントロール、在庫のコントロール、固定資産のコントロール