キャッシュフロー計算書の極意
3-7.自由資金比率©がいちばん大切?
キャッシュフロー計算書のポイントである自由資金比率©とは利益剰余金増加に占めるフリーキャッシュフローの割合です。利益が自由に使えるキャッシュとしてどのくらい残るかを示しています。自由資金比率©は高ければ高いほどよいのです。
自由資金比率©とは利益剰余金増加に占めるフリーキャッシュフローの割合のことで、<フリーキャッシュフロー÷利益剰余金増加額>で求められます。
利益剰余金増加額とは、増資がないと当期純利益(税引後の利益)となります。
配当は、株主資本等変動計算書のなかにある数値ですが、一般的には利益剰余金の増減を利益剰余金増加額と考え、自由資金比率©を計算することが多いのです。
自由資金比率©の高い会社は、利益が自由に使えるお金として残りやすく、借入金に頼らずに資金繰りのできる安定した会社です。
フリーキャッシュフローには会社の規模により差がありますが、自由資金比率©ならキャッシュの大きさに惑わされることなく、会社の経営体質そのものが読みとれます。
たとえば月15万円の収入がある人が2人いたとします。見かけの収入は同じですが、1人の給料は50万で、もう1人は20万だとしたらどうでしょう?ついクレジットカードで無駄遣いし、結局50万の給料のうち15÷50=0.3、つまり30%しか自由にできない人が、20万の給料で15万を自由にできる人よりも家計のやりくりが上手とは言い難いことがわかるはずです。自由資金比率©は高いほどよく、目標は利益がそのままキャッシュとして残る100%です。自由資金比率©が高ければ資金を借入金の返済や新規の設備投資に充てることができ、経営状態は良好といえます。
それでは自由資金比率©を高めるためにはどうしたらいいのでしょうか。答えはフリーキャッシュフローを増加させることです。つまり、売上債権や買入債務、たな卸資産をコントロールして営業キャッシュフローを増加させ、固定資産の増加をコントロールして投資キャッシュフローを抑えることで自由資金比率©はあがります。
このコントロールが上手くいくと自由資金比率©が100%以上となることもあり、理想的な会社となります。
自由資金比率© | |||
内容 | 利益剰余金増加額とは増資がないと当期純利益(税引後の利益)となります。 フリーキャッシュフローとは営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー 入らないものは財務キャッシュフロー |
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意味 | 利益がお金として残る率 | ||
数字 | どうなれば | 高いほど良い | |
目指すは | 70% | ||
赤字企業 | 意味なし | ||
黒字企業 | 40% | ||
優良企業 | 71% | ||
評価 | 理想企業 100% 普通企業 40〜69% 要改善 19%以下 優秀企業 70〜99% これから 20〜39% |
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効果 | 資金繰りが楽な会社となる | ||
対処策 | 売掛金・受取手形のコントロール…時は金なりメソッド、ゼロベースメソッド 在庫のコントロール…お買い場メソッド、商品生ものメソッド 固定資産のコントロール…色即是空メソッド、ヤドカリメソッド |
キャッシュフロー計算書の急所は自由資金比率©。
利益がお金として残る率を表す