損益計算書の極意
2-4.限界利益が基本ってどういうこと?
限界利益は売上に比例して発生する変動費を売上高から差し引いて導かれます。最終的に会社に残る利益の元となるのが限界利益であり、限界利益は多ければ多いほど会社は儲かる仕組みになっています。
限界利益は、売上から変動費と呼ばれる原価を差し引いて求められます。変動費とは売上に伴って発生する費用のことですが、商社や卸売業の場合には商品を仕入れた代金が主な変動費となり、製造業や建設業では商品を製造する際にかかった材料費や外注費が変動費となります。
たとえば、トマトを1個100円で仕入れ120円で販売した場合、
売上高=120円
変動費=100円
限界利益=20円
になります。もちろん限界利益がそのまま会社の儲けとなることはなく、限界利益からトマトの販売にかかった人件費や宣伝費、会社の財務活動による損益の合計額である固定費を差し引き、「経常利益」が求められます。
つまり、限界利益が大きいほど、会社の儲けの重要な指標である経常利益も大きくなるといえます。限界利益は会社の儲けの基本となる値です。
また、売上高が200円で変動費が190円の会社であれば限界利益は10円となり、売上高が120円しかなくても限界利益が20円ある会社のほうが儲かっているといえます。このことから会社が儲かっているかどうかを判断する際、売上高よりも限界利益の大きさのほうが役に立つことがわかるでしょう。さらに同業種の企業であれば限界利益の大きさは事業規模を判断する材料にもなります。さらに異業種企業の場合でも限界利益での企業比較はできるので便利です。
次に、一般的によく知られている「粗利益(売上総利益)」と「限界利益」の違いを説明しておきましょう。例えば製造業の場合、商品を製造するための材料費や外注費(=変動費)のほかに自社の人件費や工場経費も「製造原価」として売上高から差し引いて粗利益が計算されます。このため、粗利益は限界利益よりも小さい数値となります。
では業種別の限界利益の求め方を説明しましょう。
限界利益は売上高から変動費を引いて求められます。商社や卸売業なら商品を仕入れる際にかかった売上原価が変動費そのものとなるため限界利益が算出しやすいですが、その他の業種の場合、どんな費用が変動費に含まれるのか知っておかなくては限界利益は求められません。
業種別に変動費に含まれる主な費用を示しておきますので、これを元にして損益計算書から「限界利益」を導いてみましょう。
・製造業…材料費及び外注費および仕入商品原価
・建設業…材料費及び外注費
・運送業…外注費
・商社、卸売業、小売業…売上原価(仕入の値段)
・飲食業…材料費
・サービス業…変動費に含まれる外注費は少なく、売上のほとんどが限界利益となります