損益計算書の極意

2-6.経常利益って何?

経常利益とは会社が経常的な営業活動や財務活動を行った場合に得られる利益のことです。〈限界利益-固定費=経常利益〉で導かれます。経常利益が大きければ大きいほど会社は儲かっています。

経常利益とは会社が経常的な営業活動や財務活動を行ったときに手元に残る利益を指します。

経常利益から特別損失や特別収益を加減算して税引前当期純利益が算出され、そこから税金を差し引いて最終的な当期純利益が計算されます。「最終的な当期純利益のほうが経常利益よりも大切なのでは?」と考えるかもしれません。

しかし、会社の業績そのものを判断するときに通常では起こり得ない特別損失や特別収益が加味された当期純利益に注目することは適当でないし、その会社が前期と比べて儲かったかどうかも当期純利益からは読みとれません。やはり、経常利益が最も重要な利益なのです。

経常利益は大きければ大きいほど会社は儲かります。〈限界利益-固定費=経常利益〉ですから、経常利益を上げてより儲かる会社になるためには、限界利益を上げるか固定費を下げる施策が必要となってきます。

※ここで言う「固定費」には、「営業外損益」を含めています。

ただし、固定費を下げるために人件費を削減すると会社そのものは儲かるかもしれませんが、働いている社員には不満が残ります。できれば限界利益のアップをはかり、社員の給料もあがってみんなが幸せになる方向で経常利益の増加を目指したいものです。

経常利益が大きいほど会社は儲かるのは確かですが、1つだけ注意しなくてはならない点があります。それは経常利益は絶対値だけでなく、必ず限界利益のなかの割合を確認する必要があるということです。

たとえば限界利益が1億円のA社と10億円のB社があり、経常利益は同じ1,000万円だったとします。この2社はどちらが儲かっているのでしょうか。

答えはA社。限界利益のうち経常利益が占める割合をみてみましょう。A社では限界利益のうち10%が経常利益として残りますが、B社では限界利益の1%しか残りません。つまり、B社は限界利益が1%程度下がるだけでも経常利益がマイナスとなりうる危険な会社で、A社は多少の限界利益の減少には経営的に耐える余裕がある会社といえます。

ちなみに、決算期には「増収増益」とか「増収減益」という単語をよく目にしますが、この「収」は売上高、「益」は経常利益を指しています。増収、つまり売上増加は商品が多くのお客様の役に立つということ。一方、利益は「値が通ること」です。つまり、利益を出すために設定した価格がお客様に受け入れられれば「値が通って」利益があがり、増益となります。他の会社との競争で値下げするのは「値が通らない」状況で減益となります。

1.増収増益…売上も利益もあがる、すばらしい状況
2.減収増益…売上は増加しなかったが、変動費と固定費の削減に成功した
3.増収減益…売上は増加したが、「値が通らず」利益がでなかったかもしくは変動費・固定費が増加した
4.減収減益…売上も利益も減少し、改善が必要