貸借対照表の極意
4-2.資産とは資金の運用先
貸借対照表の左側を構成する資産は、負債・純資産で調達された資金がどのように運用されているかを示しています。資産の部は流動資産、固定資産、繰延資産の3つに区分されます。
会社は営業活動を営むために、調達した資金を使って原材料や商品を購入し、工場や店舗・事務所を構え、機械や設備などを揃えます。資産にはこうした資金の使い道がリストアップされています。
資金の使い道により資産の部は流動資産、固定資産、繰延資産の3つに区分されます。
流動資産は売掛金や棚卸資産など短期に現金化する営業資産、固定資産は機械設備など資金が長く寝る資産、繰延資産は開発費や研究費など次期以降の費用となる資産です。資産は主に流動資産と固定資産で構成されています。
流動資産は1年以内に現金化でき、資金繰りに充てやすい資産で、不足すると会社の営業活動に支障をきたします。当座資産、たな卸資産、その他流動資産に分類されますが、特に当座資産に含まれる現金・預貯金はいつでも使用できるので、多いほど経営が安定します。このほか当座資産には売上債権と呼ばれる受取手形や売掛金などが含まれますが、売上債権には回収管理が重要です。また、たな卸資産とはいわゆる在庫のことで、これも上手く管理しないと会社の経営に悪影響を及ぼします。
一方、会社の営業活動に必要な土地や建物などへ設備投資を行ったことで固定化し、寝てしまった資産を固定資産と呼び、有形固定資産、無形固定資産、投資等に分類します。
有形固定資産とは土地や建物、設備など営業活動に使う形のある資産であり、無形固定資産とは特許権や商標権など、やはり営業活動に使うが形のない資産です。投資等には投資有価証券や親会社や子会社に対する投資金、出資金などが含まれます。
資産は多いほどいいとはいえません。資産が増えればその分資本も調達しなくてはならず、自己資本が不足すれば借入金により他人資本が増えます。資産は本当に必要なものだけを導入し、無駄なく稼働させることが重要です。