貸借対照表の極意

4-6.貸借対照表の読み方

新聞などに公表されている貸借対照表でも何より自己資本比率に注目しましょう。自己資本比率は経営の安定性を表す指標であり、〈自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)〉で簡単に求められます。

公表されている貸借対照表には、決算日における会社の財政状態が示されていて、そこに記載されている数値からさまざまなことを読み取ることができます。

たとえば、貸借対照表の右側を構成する負債・純資産からは資金をどのように、どれくらい調達しているかが読みとれます。負債はいずれ返済しなくてはならない他人資本のことを、純資産は返済が不要な自己資本のことを指します。そして左側の資産からは調達した資金をどう使っているかを知ることができます。

また、資本に含まれる利益剰余金は過去の税引後利益の蓄積なので、利益剰余金を決算期数で割ることにより、その会社が毎期平均どのくらいの税引後純利益を出していたかもわかります。利益剰余金は経営安定性を判断するうえでの重要なポイントなので、このような視点で貸借対照表を見ることにも意味があります。

ただし、貸借対照表を読むときに最も注目すべきことは「自己資本比率」です。自己資本比率は経営の安定性を表す重要な指標で、〈自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)〉で簡単に算出できます。

自己資本比率が40%以上になると倒産しない会社といえますが、自己資本比率が40%以上ある会社は実際には少なく、20~39%の会社がほとんどです。しかし、40%は目標であり、自己資本比率が40%以下だと倒産するというわけではないので、それほど40%にこだわる必要はありません。取引をしてはいけない会社を見分ける指標は自己資本比率がマイナスとなっていることだと考えましょう。

商法では、決算書は公告しなくてはならないことになっていますが、実際には経営状況のいい会社しか公告を行わないのが現状です。ただし、資本がマイナス、つまり自己資本比率がマイナスとなる会社でも何故か新聞に決算を公表することがあります。

一般の人がもっと決算書を読む時代になればこういう会社も決算を公表しにくくなるのかもしれません。

貸借対照表の読み方の参考画像 貸借対照表の読み方の参考画像

自己資本比率が高くなると、手元に現金が残りやすく、つぶれにくい会社となる